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イタリア海外駐在員だより Vol.115
最終更新日:2025年01月28日
イタリア・チェルタルド市から海外駐在員の便りをお届けいたします
甘楽町海外駐在員、イタリア・チェルタルド市在住の稲葉美代子さんからの便りをお届けいたします。
第115回のお話しは、稲葉さんが冬の休暇期間に訪れた「ピエンツァ」というまちについてのエピソードです。
「ルネッサンスが生んだ小さな宝石」と称される未完成の理想郷 ピエンツァ
甘楽町の皆さま、ボンジョールノ! ( こんにちは!)
本年もどうぞよろしくお願い致します。
睦月は、新年がスタートし心新たに動き出す始動の月ですが、気が付けば早大寒の頃を迎えました。こちらチェルタルドは暦に相応しくとても寒い日々となっており、先日は最低気温が氷点下6度を記録し、まさに凍てつくようでした。しかし一方で、早くも店先に来月に迫ったカルネヴァーレのお祭り向けの伝統の揚げ菓子や独特なデザインの仮装の衣装がお目見えし始め、日常の暮らしの中に再び明るい彩りが感じられ始めた今日この頃です。
さてそんな睦月の日々が過ぎる中、まだ冬の休暇期間だった過日、久しぶりに遠出したくなり、主人と車で訪れたある小さなまちについてご紹介したいと思います。そのまち「ピエンツァ」は、チェルタルドから車で片道約2時間弱、距離にして約100km離れたトスカーナのシエナ県にあります。標高481mの丘の上に築かれ、雄大で美しい絶景に思わず息を呑むオルチャ渓谷の大自然の中にひっそり佇むように存在しています。1996年にユネスコの世界遺産に登録された人口約2000人足らずのとても小さなまちにもかかわらず、常に多くの旅人が見学に訪れるこの地は、「ルネッサンスが生んだ小さな宝石」と称される程魅力あふれる顔を持つことで知られています。
ピエンツァ(PIENZA )のまちの起源はとても古く、古代ローマ時代まで遡り、15世紀半ば頃までコルシニャーノという別の名のまちでした。しかし当時ルネッサンス期にローマ教皇となったピエンツァ出身のピオ2世は、故郷の地を美しく生まれ変わらせ、当時の最先端と言われたルネッサンス風の洗練された理想郷を創造しようと計画し、ルネッサンスの華が開いたフィレンツェの有名な建築家に設計を依頼しました。しかしピオ2世とその建築家が理想郷の完成前に相次いで他界したため、理想の郷を築く計画が中断され現在に至ることから、未完成の理想郷と称されるようになったと言われています。そんなエピソードが伝わる今なお、ピエンツァのまちは理想郷の名にふさわしく、その唯一無二の美しさで訪れる人々の心を魅了するとても貴重なスポットと言えましょう。
日々の喧騒から離れ、大自然の絶景と悠久の歴史が息づくそんな魅力的なこのまちを、また訪ねることができる機会に恵まれるよう願ってやまない私であります。
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▲伝統の揚げ菓子 カルネヴァーレ向け(1) | ▲伝統の揚げ菓子 カルネヴァーレ向け(2) |
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▲オルチャ渓谷の絶景(1)
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▲オルチャ渓谷の絶景(2)
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▲ピエンツァの大聖堂(ピオ2世広場)
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▲城壁の散歩道からの眺望
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▲「愛の道」へ続く曲がり角
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▲ピエンツァの街角
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在イタリア・チェルタルド市
甘楽町海外駐在員 稲葉美代子
稲葉美代子さんプロフィール
愛知県出身。
日本で大学院修了後、1997年シエナ外国人大学に留学、チェルタルド市に住み始め、以来チェルタルド市に在住。
イタリア人男性と結婚し、現在は娘さんと3人家族。
2013年チェルタルド市国際文化交流推進協会設立当初より入会。
チェルタルド市で日本語講座を開催するほか、甘楽町との姉妹都市交流に携わって来た。
2014年チェルタルド市の使節団団員として来町。
2015年6月、甘楽町海外駐在員に任命。
2019年11月、甘楽町発足60周年特別表彰。
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