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イタリア海外駐在員だより Vol.106

最終更新日:2024年04月22日

イタリア・チェルタルド市から海外駐在員の便りをお届けいたします

 甘楽町海外駐在員、イタリア・チェルタルド市在住の稲葉美代子さんからの便りをお届けいたします。

 第106回のお話しは、旬を迎えたイチゴを活用して作る「苺のリゾット」についてのエピソードです。


画像:チェルタルドパノラマ 

苺の新感覚の味に出会えるイタリアンな米料理

甘楽町の皆さま、ボンジョールノ! ( こんにちは!)


 
 こちらチェルタルドでは、生い茂る若草の中に真紅のヒナゲシの花が咲く季節を迎え、トスカーナ地方のこの時季の風物詩とも言われる美しい田園風景を満喫できる今日この頃です。また新しい若葉が顔を出したブドウの木々の広大な畑が田園道の脇に広がる景色にも、初夏の到来の足音が聞こえ始めたように感じられます。

 さてそんな中、イタリアでは今年も苺が旬を迎え、スーパーや朝市で山盛りに積まれた苺パックが大量にお目見えしています。見るからに美味しそうな旬の完熟イチゴを見る度、食欲をついそそられてしまい、苺のティラミスや苺クリームをたっぷり挟んだケーキやジャムを作る私ですが、そんなデザート感覚の苺の味とは異なり、食材として苺を活用して作るお米料理に出会ってから魅了され、毎年この時季に作る「 苺リゾット」の一品をご紹介したいと思います。

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▲苺の販売コーナーの様子 ▲新感覚の味・苺リゾット
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▲苺リゾットの材料 ▲調理の様子

 最初は「苺を料理に」という発想にただただ驚き、いったいどんな一品なのかと好奇心を抱くばかりだったことが忘れられません。作り方は他のリゾットと同じ方法でシンプルです。

 細かく刻んだ少量の玉ねぎをバターで少し炒めてから生のお米を加えてさらに炒め、予め細かく刻んだ苺をヒタヒタに漬けておいた白ワインのみを投入します。そしてを2回に分けて加え、別鍋に用意した野菜ブイヨンのスープを少しづつ加えがら調理します。そして最後に生クリーム(調理用)と粉チーズを少量入れてまろやかな風味に仕上げ出来上がりです。ほんのりとした苺の酸味がクリーミーな味とマッチして絶妙な風味を楽しめますが、個人的には火を止めてから隠し味として砂糖をひとつまみ振りかけるとさらに美味しく仕上がるように思います。

 苺リゾットは、今でこそイタリアで一般的に広く知られ家庭で作られますが、伝統的なクラッシックタイプの米料理ではなく、1980年代に創作料理の一つとして生まれた一品と言われています。食について概ね保守的だと言われるイタリアにおいて、このようなオリジナル感覚あふれる新たな味覚を楽しめる一品が誕生したことに、食に対する情熱と食を楽しむイタリアのお国柄を感じる私であります。


在イタリア・チェルタルド市

甘楽町海外駐在員 稲葉美代子

 

 

稲葉美代子さんプロフィール

 愛知県出身。
 日本で大学院修了後、1997年シエナ外国人大学に留学、チェルタルド市に住み始め、以来チェルタルド市に在住。
 イタリア人男性と結婚し、現在は娘さんと3人家族。
 2013年チェルタルド市国際文化交流推進協会設立当初より入会。
 チェルタルド市で日本語講座を開催するほか、甘楽町との姉妹都市交流に携わって来た。
 2014年チェルタルド市の使節団団員として来町。
 2015年6月、甘楽町海外駐在員に任命。
 2019年11月、甘楽町発足60周年特別表彰。

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