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イタリア海外駐在員だより Vol.88

最終更新日:2022年09月22日

イタリア・チェルタルド市から海外駐在員の便りをお届けいたします

 甘楽町海外駐在員、イタリア・チェルタルド市在住の稲葉美代子さんからの便りをお届けいたします。

 第88回のお話しは、イタリアではポピュラーな存在で愛食される「栗花はちみつ」ついてのお話しです。


画像:チェルタルドパノラマ 

栗花はちみつ ~栗の季節に寄せて~

 甘楽町の皆さま、ボンジョールノ! ( こんにちは! )

気が付けば早いものでお彼岸の頃を迎えました。こちらチェルタルドでは、「暑さ寒さも彼岸まで」の如く、続いていた残暑が去り肌に少し冷たく感じる爽やかな空気と、雲一つない澄んだ青空が広がるセッテンブリーナ” ( 九月の秋晴れ)の気候に恵まれている今日この頃です。

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   九月の秋晴れ( チェルタルド市・自然公園)          九月の秋晴れの空

 
 さて、秋といえば「実りの秋」。ブドウやイチジク、りんご等の果物が豊かに実り「食欲の
秋」を堪能できる季節ですが、今回はイタリアがその世界屈指の生産国として有名な「栗」の季節を迎えたことにちなみ、伝統の名産品「栗花はちみつ」についてスポットを当てたいと思います。

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           栗の花はちみつ

 イタリアでは主に北部のアルプス地方や南北を貫くように存在するアッペンニーニ山脈の山岳地域において、栗の花の蜜から作るはちみつの生産がさかんです。レンゲ花やアカシア花のはちみつが代表的な日本においては、あまり広く知られていないかもしれませんが、イタリアでは栗花はちみつはポピュラーな存在で愛食されています。チェルタルド市があるトスカーナ州は、州の大半を山々や森林が占めている豊かな自然環境の恵みを受けて、養蜂が伝統的産業として行われてきたと言われています。多種類のはちみつが作られる中、栗花はちみつが有名ですが、ともすればはちみつは、砂糖に替わる甘味と思っていた私にとっては、初めて栗花はちみつを食した時、その深いコクとほろ苦くてビターな甘みの風味がとても個性的に感じられて衝撃的でした。しかし熟成タイプのチーズや肉料理の隠し味に栗花はちみつをマリアージュして食して以来、いつのまにかその独特な風味の虜になってしまった程です。
 
 

かつて古い昔の時代から栗の実を食すだけではなく、木で家具を作り、枝を薪にして暖を取り、
葉から肥料を作り、花から蜜をとりはちみつを作っていたという歴史的背景から、伝統的に栗と共生してきたイタリアの人々のライフスタイルを知る手がかりとなり得る栗花はちみつに、知的好奇心をそそられる私であります。

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           栗の実り            栗並木の風景

 

 これから秋の深まりと共に街角に焼き立てアツアツの栗を売る焼き栗売りが現れ始め、本格的な旬の栗を味わえる日が来るのを待ち遠しく思う今日この頃です。

在イタリア・チェルタルド市

甘楽町海外駐在員 稲葉美代子


 

在イタリア・チェルタルド市

甘楽町海外駐在員 稲葉美代子

 

 

稲葉美代子さんプロフィール

 愛知県出身。
 日本で大学院修了後、1997年シエナ外国人大学に留学、チェルタルド市に住み始め、以来チェルタルド市に在住。
 イタリア人男性と結婚し、現在は娘さんと3人家族。
 2013年チェルタルド市国際文化交流推進協会設立当初より入会。
 チェルタルド市で日本語講座を開催するほか、甘楽町との姉妹都市交流に携わって来た。
 2014年チェルタルド市の使節団団員として来町。
 2015年6月、甘楽町海外駐在員に任命。
 2019年11月、甘楽町発足60周年特別表彰。

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