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イタリア海外駐在員だより Vol.87

最終更新日:2022年08月29日

イタリア・チェルタルド市から海外駐在員の便りをお届けいたします

 甘楽町海外駐在員、イタリア・チェルタルド市在住の稲葉美代子さんからの便りをお届けいたします。

 第87回のお話しは、イタリアの民家の玄関に飾られるリボンに込められたメッセージについてのお話しです。


画像:チェルタルドパノラマ 

イタリアの伝統文化を映すリボンの秘密



 甘楽町の皆さま、

 残暑お見舞い申し上げます。

 日本では厳しい残暑が続いているとの知らせを見聞きしておりますが、いかがお過ごしでしょうか。

 こちらイタリアでも今年は大変強烈な熱波に幾度も襲われ、最高気温が40度を超える日も珍しくなくなった殊の外厳しい酷暑の夏となりました。その酷暑が去った後もじりじりと肌をさすような強い日差しが降り注ぐ中、夕食後にジェラート(アイスクリーム)を片手に夕涼みを楽しむ晩夏を過ごしていた先日、トスカーナ州が大変強い突風を伴ったゲリラ豪雨に襲われました。主に倒木や海水浴場に設置されたビーチパラソル、チェアー等に被害が発生し、自然災害による非常事態宣言が発令されました。

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          小石サイズの雹


ここチェルタルド市でも、当日は小石程の大きさの雹が降り、農作物への被害が心配されまし
たが、収穫期を間近に控えたブドウ畑で、房を覆うように茂る葉々に守られるように無事であったワインの主原料のブドウを見て、生命力の強さを感じた私であります。

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      雹の被害を免れたブドウ(1)        雹の被害を免れたブドウ(2)


 そんな夏の終わりの頃を迎えたとはいえ、八月は、イタリア人にとっては長いヴァカンス休暇の月であることに変わりはなく、それは街なかで見かける人々の姿が極端に少ないことや、お店の閉められたシャッターに「ヴァカンスのためお休みします」と書かれた貼り紙を見るたびに思います。そのようなひと言が書かれたメッセージを目にすると、「イタリア」をダイレクトに感じる私でありますが、街なかの道を歩いていて、ふと民家の玄関の扉に大きなリボンの飾りが付けられている光景が目に留まる時にも、同様に「イタリア」を感じます。それは、そのリボンがどのようなメッセージを人々に伝えているのかという秘密を知ったことによります。まさにリボンは、その家に赤ちゃんが生まれ、新しい命が誕生したことを人々に伝えているのです。また、リボンの色が水色なら男の子、ピンク色なら女の子を意味するので、生まれた赤ちゃんの性別も一目瞭然です。

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     男の子誕生を伝えるリボン       女の子誕生を伝えるリボン


 
時代の変遷と共にライフスタイルや価値観の多様化が進む昨今において、このような「イタリア」のオリジナリティを感じさせてくれる古き良き伝統的な慣わしが風化することなく存在し続けて

ほしいとひそかに願う私であります。


 

在イタリア・チェルタルド市

甘楽町海外駐在員 稲葉美代子

 

 

稲葉美代子さんプロフィール

 愛知県出身。
 日本で大学院修了後、1997年シエナ外国人大学に留学、チェルタルド市に住み始め、以来チェルタルド市に在住。
 イタリア人男性と結婚し、現在は娘さんと3人家族。
 2013年チェルタルド市国際文化交流推進協会設立当初より入会。
 チェルタルド市で日本語講座を開催するほか、甘楽町との姉妹都市交流に携わって来た。
 2014年チェルタルド市の使節団団員として来町。
 2015年6月、甘楽町海外駐在員に任命。
 2019年11月、甘楽町発足60周年特別表彰。

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