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イタリア海外駐在員だより Vol.81

最終更新日:2022年04月25日

イタリア・チェルタルド市から海外駐在員の便りをお届けいたします

 甘楽町海外駐在員、イタリア・チェルタルド市在住の稲葉美代子さんからの便りをお届けいたします。

 第81回のお話しは、イタリアで郷土愛を意味する「カンパニリズモ」にちなんだ、チェルタルド市のご当地フードについてのお話しです。


画像:チェルタルドパノラマ 

「ボッカッチョのパン」 ~”カンパニリズモ” を映すご当地フード~

 

 甘楽町の皆さま、ボンジョールノ! ( こんにちは!)こちらイタリアでは、先日冬の代表的なお祭りであるカルネヴァーレ(カーニバル)の期間がスタートし、特に週末になると街の広場において、仮装した可愛らしい子ども達がコリアンドリ( カラーペーパーの紙吹雪)を投げ合って遊ぶ光景が目に留まります。コロナのオミクロン株による大きな感染の波が去りつつある中、依然厳しい規制措置が維持され、他の欧州諸国のように緩和の方向になかなか進まないイタリアに、カーニバルの始まりが少し明るい風を吹き込んでくれたように感じる今日この頃です。

 

 さて、イタリアという国を知る上でのキーワードに「カンパニリズモ」という言葉があります。それは、まさにイタリア人が心の中に抱く「郷土愛」の意。自分が生まれ育った郷土を心から愛し誇りを持つ気持ちで、その矛先は、街の教会の鐘(カンパニーレ)の音色を始め、郷土の料理や食材、ワインや方言等に向けられます。

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チェルタルドのパノラマ(ボッカッチョ)の家の塔より

 

 

 その一例として、私が暮らすチェルタルド市のチェルタルデーゼ(チェルタルド出身者)達の間でこよなく愛されている「ボッカッチョのパン」というフードがあります。これは、中世時代から地元で栽培されていたとされる赤玉ねぎをパン生地にふんだんに混ぜ、石臼で挽いたアンティークな古種の小麦粉を使用して焼き上げた主食パンで、チェルタルデーゼのパン職人さんが創作したオリジナルフードです。

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ボッカッチョのパン(1) ボッカッチョのパン(2)

 

 

 チェルタルドの誇りである、中世の文豪・ボッカッチョが、彼の代表作である「デカメロン」において、地元産の赤玉ねぎついて記述していることにちなみ、ボッカッチョに捧げる意を込めて、「ボッカッチョのパン」と名付けられたそうです。赤玉ねぎの香ばしい香りに食欲をそそられ、ついもう一切れ食べたくなるボッカッチョのパン。チェルタルドへの郷土愛から生まれたオリジナルなご当地フードは、これからもチェルタルドを語る味として人々を魅了するとっておきのグルメ的な存在になることでしょう。

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チェルタルドの名産の赤玉ねぎ 中世時代の文豪・ボッカッチョ(肖像画)

 

 

 

 

 

在イタリア・チェルタルド市

甘楽町海外駐在員 稲葉美代子

 

 

稲葉美代子さんプロフィール

 愛知県出身。
 日本で大学院修了後、1997年シエナ外国人大学に留学、チェルタルド市に住み始め、以来チェルタルド市に在住。
 イタリア人男性と結婚し、現在は娘さんと3人家族。
 2013年チェルタルド市国際文化交流推進協会設立当初より入会。
 チェルタルド市で日本語講座を開催するほか、甘楽町との姉妹都市交流に携わって来た。
 2014年チェルタルド市の使節団団員として来町。
 2015年6月、甘楽町海外駐在員に任命。
 2019年11月、甘楽町発足60周年特別表彰。

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