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イタリア海外駐在員だより Vol.64

最終更新日:2020年09月23日

イタリア・チェルタルド市から海外駐在員の便りをお届けいたします

 

 甘楽町海外駐在員、イタリア・チェルタルド市在住の稲葉美代子さんからの便りをお届けいたします。

 第64回のお話は、食欲の秋にちなみイタリアで「魔女の木の実」とも呼ばれる秋の味覚クルミにスポットを当てた、クルミにまつわる不思議な言い伝えについてのお話です。 


画像:チェルタルドパノラマ 

「魔女の木の実」にまつわる不思議な言い伝え

 甘楽町の皆さま、

 ボンジョールノ!(こんにちは!)
 

 イタリアにおいて、長い夏の休暇期間が終わる九月は「始動の月」と言われますが、コロナの影響で六か月余り休校のままだった学校が先日再開され、新学年度が始まりました。

  

イタリア学校再開
  半年ぶりに再開された学校

 

 

 チェルタルドでも実に半年ぶりに学校の窓が開放され、朝マスクを着けて登校する子どもたちの姿に再出発の空気を実感します。また、恒例のヴェンデンミア(ワインの主原料のブドウを収穫する作業)のシーズンを迎え、田園地帯の中に手作業で丁寧に摘み取られたブドウの房がたくさん入った箱が目に留まり、ワインの郷らしい長月の季節感を心に感じる今日この頃です。

 

ブドウ収穫1          ブドウ収穫2
ブドウの収穫(1)            ブドウの収穫(2)

 さて、イタリアで俗に❝魔女の木の実❞と呼ばれるポピュラーな秋の味覚をご存知でしょうか。

 それはズバリ❝クルミ❞!その歴史を遡ると、約2000年前にイランで栽培されていたペルシャグルミがギリシャを経て地中海を渡り、イタリアに伝わりました。イタリアは欧州の中でもクルミの生産が盛んな国で、クルミはパスタのソースやピッツァのトッピング具材、またパンやスイーツに活用され人々に愛される存在です。

 しかし、そんなクルミも中世時代においては、悪魔がクルミの木の葉で眠るため、多くの魔女がクルミの木の下に集まって来ると人々の間で信じられ、クルミは❝魔女の木の実❞と呼ばれるようになったと言われています。またそのためか、もし人がクルミの木の陰で眠ってしまった場合には、悪魔の流行病にかからないように、その人に魔法をかける必要があると言い伝えられてきたとのことです。

 

クルミ1   クルミ2
      魔女の木の実「クルミ」(1)         魔女の木の実「クルミ」(2)

 

 このように、その昔、人々の間で何か縁起が悪い実と認識されていたクルミですが、その後時代の変遷とともにクルミから搾るオイルがオリーブオイルの代用品になり、栄養価が高くて保存が効く優れた食べ物だということが判明したことにより、次第に❝魔女の木の実❞にまつわる不思議な言い伝えも語られなくなったと言われています。

 クルミは私にとってポピュラーな秋の味覚という枠にとどまらず、興味深い不思議な伝説がその中に詰まっている、とても知的好奇心をそそられる存在であります。

 そして、いつか友人から聞いた「ノチーノ」という❝魔女の木の実❞から作る珍しいリキュールを味わってみたい・・・と願う今日この頃です。

 

 

 

在イタリア・チェルタルド市                 

                                          甘楽町海外駐在員 稲葉美代子

 

稲葉美代子さんプロフィール

 愛知県出身。
 日本で大学院修了後、1997年シエナ外国人大学に留学、チェルタルド市に住み始め、以来チェルタルド市に在住。
 イタリア人男性と結婚し、現在は娘さんと3人家族。
 2013年チェルタルド市国際文化交流推進協会設立当初より入会。
 チェルタルド市で日本語講座を開催するほか、甘楽町との姉妹都市交流に携わって来た。
 2014年チェルタルド市の使節団団員として来町。
 2015年6月、甘楽町海外駐在員に任命。
 2019年11月、甘楽町発足60周年特別表彰。

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