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イタリア海外駐在員だより Vol.58

最終更新日:2020年03月25日

イタリア・チェルタルド市から海外駐在員の便りをお届けいたします

 

 甘楽町海外駐在員、イタリア・チェルタルド市在住の稲葉美代子さんからの便りをお届けいたします。

 第58回のお話は、新型コロナウイルスにより変化したイタリアの様子についてのお話です。 


画像:チェルタルドパノラマ 

「変化」を機に伝統スタイルについて再考する時…

 甘楽町の皆さま、ボンジョールノ!(こんにちは!)
 

 現在、新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大する中、イタリアは欧州で最も感染が深刻な国となり、「これは戦争に匹敵する非常事態だ」という言葉をテレビの報道から耳にする今日この頃です。今月上旬に全土が封鎖され、移動や外出を厳しく制限する首相令が発令されて以降、イタリアにおいて人々の日常の全てが大きく変化しました。それまで着ける習慣がなかったマスクを着けるイタリア人の姿が普通となり、ごく自然に自由にできていたことや街の普通の風景が消えました。友人と食事したり、バールでエスプレッソを飲みながらおしゃべりを楽しんだり、いつも住民が集まる憩いの場であった広場の風景…。これらの日常が無くなった大きな変化は、イタリアで暮らす人々の心に大きな重みを与えています。

 

ボッカッチョ広場(チェルタルド)   メインストリートの様子(チェルタルドの様子)
ボッカッチョ広場(チェルタルド)    メインストリートの様子(チェルタルド)

 

 そんな中、食料品等生活必需品の買い出しのための外出は許可されているのですが、その買い物をすること自体にも変化が生じています。入場制限が敷かれているため、スーパーでは入り口から順番をひたすら待つ長蛇の列ができ、買い物が忍耐と辛抱が要求される「ひと仕事」となった感を覚えるほどです。

 

順番を待つ長蛇の列
順番を待つ長蛇の列

 

 先日スーパーに水等を買いに行った際も帰宅まで2時間かかったため、先週末、私は街角にあるアリメンターリ(食料品等を取り扱う小売店)に食料の買い出しに行くことを思いつき、そこに足を運びました。アリメンターリはイタリアの伝統スタイルのお店で、ひと昔前までは主流でしたが、ライフスタイルの多様化や時代の変化と共にスーパーへ行く人が増えたため、近年衰退の一途を辿っています。買いたいものをひとつずつお店の人に告げて買うので、イタリアに来たばかりの頃、語学の勉強になると思い、こんなお店で拙いイタリア語を駆使して何とか無事に買い物ができ、とても嬉しくなった昔の記憶がふと甦りました。

 

小売店の様子(1)    小売店の様子(2)
小売店の様子(1)   小売店の様子(2)

 

 人も少なく、不便なく買い物できた事に喜びを感じたと同時に、変化した日常を生きる中で、このような伝統スタイルならではの良い一面について再考する好機会を得られるのではないかという気づきを受け取った私であります。

 新型コロナウイルス感染の拡大がいつ終息に向かうのか予測がつかない現状ですが、何とか徐々に良い方向に進み、状況が好転していくよう祈るばかりです。

 

 

 

在イタリア・チェルタルド市                 

                                          甘楽町海外駐在員 稲葉美代子

 

稲葉美代子さんプロフィール

 愛知県出身。
 日本で大学院修了後、1997年シエナ外国人大学に留学、チェルタルド市に住み始め、以来チェルタルド市に在住。
 イタリア人男性と結婚し、現在は娘さんと3人家族。
 2013年チェルタルド市国際文化交流推進協会設立当初より入会。
 チェルタルド市で日本語講座を開催するほか、甘楽町との姉妹都市交流に携わって来た。
 2014年チェルタルド市の使節団団員として来町。
 2015年6月、甘楽町海外駐在員に任命。
 2019年11月、甘楽町発足60周年特別表彰。

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