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富岡製糸場土台石採掘場所跡

最終更新日:2021年06月08日

指定:平成30年1月31日   町指定重要文化財
所在地:甘楽町大字小幡1929番地1   個人所有
見学:常時可
 
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 世界遺産の富岡製糸場は明治5年(1872)10月4日に操業を開始した。この建設にあたり、小幡にある長厳寺裏の連石山(れんせきざん)から製糸場建物土台石に用いる牛伏砂岩の石材が切り出され、これらは“御用石”と呼ばれた。
 土台石採掘場所は標高約220~230mの山中にあり、ふもとより約20~30m高所にある。『甘楽町史』(1979.甘楽町)に「4尺1寸2分5厘、角1尺9寸8分 352本」など、石材の寸法ごとに合計約4,000本もの御用石を切り出して運搬する請負証書の事が記されている。切り出された御用石は、大八車で富岡市田篠の鏑川(かぶらがわ)岸まで運搬され、岸からは筏に積み、鏑川をさかのぼり、富岡製糸場建設地南側の河岸段丘下の桐渕まで一日がかりの労苦であった。桐渕からは“コロ”を使って急斜面を上げられ、建設地に運ばれた。
 連石山の東向きの山肌に採掘場所はあり、跡地は南北方向に長く上下二段で採掘された。二段とも採掘の痕跡が鮮明に残されており、階段状に石を切り出した跡が 6~7段残存し、ノミ状工具の痕跡も残り、石材の切り出し工程が分かる。
 上段の採掘跡の東西方向の南端は4m、北端で2.1m、最大長は中央より北寄りにあり6.2m。南北方向の東側は下段採掘場の上場で、少し“く”字状になっており16.7m。西側は12.4mで、直に削られた岩壁となっている。この壁の高さは、南側で2.5m、北側は3.9m、中央で4.6mを測り、工具で削った痕跡が残っており、岩壁の上は山肌である。下段の採掘跡の東西方向の南端は4.6m、北端で3.2m、中央は約3mと逆“く”字状に狭くなっている。南北方向の東側は10.7mで、この下は山肌となる。西側は17.3mで、直に削られた岩壁となっており、壁の上が上段採掘場の東辺となる。この岩壁の高さは、南側4.3m、北側は3m、中央で5mを測り、岩壁下部にノミ状工具の痕跡が顕著に残っている。
 切り出された土台石は現在も世界遺産の富岡製糸場を立派に支えており、採掘場所跡は非常に貴重な史料であり、重要な遺産である。

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