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イタリア海外駐在員だより Vol.57

最終更新日:2020年02月28日

イタリア・チェルタルド市から海外駐在員の便りをお届けいたします

 

 甘楽町海外駐在員、イタリア・チェルタルド市在住の稲葉美代子さんからの便りをお届けいたします。

 第57回のお話は、「閏年」にスポットを当てたお話です。 


画像:チェルタルドパノラマ 

閏年誕生のルーツ

 甘楽町の皆さま、ボンジョールノ!(こんにちは!)
 

 イタリアでは、先週末に北部地方で発生した新型コロナウイルス感染が急速に拡大している状況に伴い、国全体が強い警戒感に包まれている今日この頃です。更なる感染拡大を防ぐため、封鎖や移動制限等の対策が取られている中、カーニヴァルが早めに打ち切りとなった事態に、前代未聞の衝撃が走ったことも事実です。

 私が暮らすチェルタルドでは幸い感染者は発生しておらず、市民も予防に取り組み、日々過ごしています。しかし、先行きへの募る不安な気持ちのためか、スーパーで食料品の買い占めが起きていて、主食のパスタが棚から姿を消す現象に、パスタの備蓄をまず第一に考えるイタリア人の思考回路を思い「やはりここはイタリアだ」と妙に納得する私であります。でも、こんな時だからこそ必要以上に慌てず、深呼吸をして心を落ち着かせることが大切なのだということを、雄大で穏やかな田園風景が教えてくれているように思えます。

 

チェルタルドの風景2    イタリアの風景1

 さて、そんな2月を過ごす中、先月カレンダー上で最終日の「29日」に目が留まり、今年が閏年であることに改めて気づいた私。それゆえ今回は閏年にスポットを当てたいと思います。

 閏年は周知のごとく、現行の太陽暦であるグレゴリオ暦(新暦)を採用している世界の国々において4年ごとに存在します。しかし、地球上に流れる悠久の歴史を紐解くと、グレゴリオ暦が制定される以前に用いられていたユリウス暦(旧暦:紀元前45年制定)に閏年誕生のルーツを知ることができます。ユリウス暦を制定するにあたり、それ以前に1年を10か月としていたローマ暦から2か月増やして12か月とし、日数を365日とするように改訂されました。

 しかし、そのプロセスにおいて最も偉大な英雄であったジュリアス・シーザーにちなみ名付けられた7月(ルーリオ)と同様に偉大な皇帝アウグスティヌスにちなみ名付けられた8月(アゴースト)が同じ日数、つまり31日となるように調整されました。日数に差をつけないことで両者の威厳を同等に尊重するという観点から適切だという考えに基づいたとも言われていますが、そんな隠れたエピソードを知ることは、ローマ帝国時代の背景を探る上で興味深いことだと思います。また、その日数調整の影響を受けて2月が28日と定められたのですが、細かいズレを更に調整するために4年に1度、1年を366日としたことにより閏年が誕生したのです。

 今年4年ぶりに巡ってきた閏年のため追加された29日という一日を大切に過ごし、古代ローマ帝国において新年始まりの月であった3月を、気持ち新たに迎えたいと思う私であります。

 

 

 

在イタリア・チェルタルド市                 

                                          甘楽町海外駐在員 稲葉美代子

 

稲葉美代子さんプロフィール

 愛知県出身。
 日本で大学院修了後、1997年シエナ外国人大学に留学、チェルタルド市に住み始め、以来チェルタルド市に在住。
 イタリア人男性と結婚し、現在は娘さんと3人家族。
 2013年チェルタルド市国際文化交流推進協会設立当初より入会。
 チェルタルド市で日本語講座を開催するほか、甘楽町との姉妹都市交流に携わって来た。
 2014年チェルタルド市の使節団団員として来町。
 2015年6月、甘楽町海外駐在員に任命。
 2019年11月、甘楽町発足60周年特別表彰。

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